和暦の暮らし
Nov 1, 2016

【七十二候から】53 「霎時施す(しぐれときどきほどこす)」

【七十二候から】53

霎時施す(しぐれときどきほどこす)」

皆様、おはようございます。

11月になりましたね。

さあっと雨が降ってはすぐ晴れる、そんな頃です。

「初時雨」
まさに、今がその時期ですね。

朝だけ降る「朝時雨」、

夕方降る「夕時雨」、

横なぐりに降る「横時雨」、

夜に降る「小夜時雨」。

天候が変わって時雨が降ることを「時雨れる(しぐれる)」といいます。

同じ雨でも「時雨」という言葉を使うと、何か優しい響きになります。

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西行のことを描いた『時雨西行』という長唄があります。

原曲は能『江口』です。

時雨降る季節、雨に濡れながら行脚している旅の僧西行は、

決してこの時雨の日の出来事は忘れまい、書き写しておこうと、最後に語ります。

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西行は、平安後期歌人・僧です。

出家前は武士(佐藤義清・憲清とも)で、鳥羽上皇の下で北面の武士として仕えていましたが、

その後出家し、諸国行脚し歌を詠みました。

自作の「ねがはくば 花の下にて春死なむ そのきらさぎの望月のころ」

という和歌のとおり、

文治六年(1190)の2月、73歳で入滅したと伝えられています。

『新古今和歌集』に94首、勅撰集の合計で266首が入集する当代第一等の歌人だともいわれています。

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さて、『時雨西行』に戻りましょう。

西行は、和歌を詠み、悟りの境地を得るために諸国を廻国修行して歩いていました。

時雨にあい、江口(大阪・大阪市東淀川)の里を訪れ遊女に一夜の宿を請うところから物語は始まります。

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遊女から一旦は断られてしまいますが、その後西行と遊女とは和歌を詠み交わします。
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「一夜の仮の宿」と「俗世」を掛け合わせて、

この世に執着してはいけないということを遊女は和歌で詠み返します。

西行は静かに目を閉じ心を静めます。

すると、典雅の調べが響き、六牙の象に乗ったまばゆい光を放つ普賢菩薩の姿が見えたのです。

目を開けば、目の前の遊女が語る言葉はこうであったのです。

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「迷いを離れた清浄な境界の大海に、煩悩の風は吹きません。

機縁が生ずれば必ずや悟りの波は立つものです。

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人は執着する心を捨てれば つらい世も恋もなくなりましょう。

人を慕ったり、人を待つことはやめましょう。

恋する気持ちや愛する気持ちを抱いて人を待てば、別れの嵐が吹き荒れます。

花が咲くさま、紅葉していくさま、満ち欠けてゆく月も、さまざまに降る雪も、

すべてはとどまることをせず変わってゆくものです。

過去のことに心を留めておいても何にもならないのです。


執着する心を捨てなさい。」と。


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なんと尊いことであろうか。なんともったいないことであろうか。

目を開けば遊女の姿。しかし、その遊女は、実は普賢菩薩の化身だったのです。

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舞踊では、この遊女江口を初めは遊女として表現し、後にその姿で普賢菩薩になるという変身を演じるところが大変難しい役どころです。

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この普賢菩薩を感得した西行は悟りを得ることができたというストーリー展開になっています。

この時雨の日、西行は人生の大きな転機を迎えたのですね。

一度、是非この舞踊もご覧になってみてはいかがでしょうか。

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西行(菊池容斎画・江戸時代)(ウィキペディアより)

 

Oct 26, 2016

【七十二候から】52 「霜始めて降る」

【七十二候から】52

「霜始めて降る(しもはじめてふる)」

皆様、おはようございます。

「霜降」の初候。

霜降は、朝夕にぐっと冷え込み、霜が降りる頃のことです。
山々が少しずつ葉色が秋色の変わり、落葉し始めています。

富士山に初冠雪が見られましたね。
北海道でも初雪のお知らせが舞い込んできました。

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うっすらと大地の上に、

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白い雪にうっすらと覆われた赤い薔薇の蕾、

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郷里の宮城では、10月15日が八幡様の秋祭りです。

稲作の神様を春にお迎えし、秋の実りに感謝と報恩の意を込めて、

山に帰っていかれる神様にお祭りを捧げるのが秋祭りですね。

昨今ではこのお祭りも取りやめになったということを聞き、とても寂しい思いがしています。
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毎年この15日にコタツの用意をしたものです。

本格的な寒さの到来で、

こたつやストーブがもう手離せない時期になるのです。

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隙間風の多い古い木造家屋ではこれからの寒さ対策にはなかなか厳しいものがあります。

霜が降りるときには、農作物の生育には特に注意して見ておきたいものですね。

「そぞろ寒」と呼ばれる、じいんと寒さが肌にも体にも感じる時節ですので、

外出時には、スカーフやマフラーなどを持って、上着など暖かくなるものを着て行きましょう。

どうぞお気をつけてお過ごしください。

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Oct 19, 2016

【七十二候から】51 「蟋蟀戸にあり(きりぎりすとにあり)」

【七十二候から】51

蟋蟀戸にあり(きりぎりすとにあり)」

皆様、おはようございます。

きりぎりすが戸口で鳴く頃です。

蟋蟀」はきりぎりすか、こおろぎか、諸説あるようです。

日本人ならお馴染みの「虫の声」という唱歌がありますね。

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あれ松虫が 鳴いている

ちんちろ ちんちろ ちんちろりん

あれ鈴虫も 鳴き出した

りんりんりんりん りいんりん

秋の夜長を 鳴き通す

ああおもしろい 虫のこえ

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きりきりきりきり こおろぎや(きりぎりす)

がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫

あとから馬おい おいついて

ちょんちょんちょんちょん すいっちょん

秋の夜長を 鳴き通す

ああおもしろい 虫のこえ

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「尋常小学読本唱歌『虫のこえ』」ウィキペディアより

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実は、

「きりきりきりきり きりぎりす」から

「きりきりきりきり こおろぎや」に改められた経緯があります。

1932年の「新訂尋常小学校唱歌」にて、「きりぎりす」はこおろぎの古語であったというのです。

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きりぎりす夜寒になるを告げがほに 枕の下にきつつ鳴くなり (西行)

 

この西行の和歌が詠まれた平安時代には、

「きりぎりす」は「こおろぎ」のことを指していたといいます。

このこおろぎは、「つづれさせこおろぎ」のことで、

こおろぎの鳴き声は万葉集にも歌われていたようです。

平安時代には、蟋蟀」は「つづれさせこおろぎ」のことでした。

リーリーリーと、衣の綴れを刺せという音を聴いて、平安歌人は歌を詠みました。

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また、蟋蟀」はきりぎりすを指し、別名を「機織り虫」とも呼ばれます。

鳴き声が「ギーッチョン、ギーッチョン」と、機織りのように聞こえるからだとか。

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ところで、七十二候の「蟋蟀戸にあり」のルーツは、中国最古の詩篇『詩経』(紀元前11~6世紀)といわれています。

農民の暮らしは「七月に野に在り、八月は軒下に在り、九月は戸に在り、十月は我が床の下に入る」と、詩に詠まれているのだとか。

有名な杜甫や白居易が、蟋蟀は秋になると暖を求めて家や寝床に近づくことを漢詩に詠みました。

それが日本にも影響を及ぼしました。

虫の音は晩秋の寒さの中で弱々しく鳴くからこそ味わいがあるものだと。

盛りを過ぎて、終わりゆくものへの哀れを感じる侘び寂びの思いが日本人にはぴたりと合ったのでしょうね。

名残りを楽しむという日本人の感性は、虫の音だけではなく、

食でも着物でも茶道でも、いろいろな美の世界で取り入れられていますね。
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Oct 13, 2016

【七十二候から】50 「菊花開く」

【七十二候から】50

「菊花開く(きっかひらく)」

皆様、おはようございます。

菊の花は、昔大変珍重されたと言います。

仙境に咲くという菊の花。

菊の花は邪気を払い、長寿を全うすることができると信じられていました。

旧暦九月九日の重陽の節句には、

平安時代の宮中行事として、

菊の花びらを浮かべたお酒を酌み交わしました。

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女性から男性へこんな贈り物もされたのですよ。

菊の花びらを乾燥させ詰め物にし、菊枕を作って贈られたのです。

菊の香りが漂い、恋する人が夢に現れると信じられていましたから、

恋する人に夢の中に自分が登場するようにと、願いを込めたのでしょう。

バレンタインのチョコレート以上にロマンチックですね。

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菊の花が咲く頃は空が晴れわたります。

この青空を「菊晴れ」といいます。

菊は仙人の住むところに咲く花。

そんな菊の咲く大地は心身ともに健やかにしてくれそうです。

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東京本郷の団子坂の菊人形(ウイキペディアより)
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「菊人形展」

明治末までは東京本郷の団子坂が有名だったようです。

森鴎外『青年』にも描かれています。

現在有名なのは、

二本松の菊人形(福島県二本松市)

たけふ菊人形(福井県越前市)

ひらかた大菊人形(大阪府枚方市)

南陽の菊まつり(山形県南陽市)

などです。

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「観菊会」

天皇主催の菊花鑑賞会。

新宿御苑で行われます。(11月1日~15日)

菊花鑑賞は11月ですね。

待ち遠しいです。

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枚方大菊人形義経第九場面静の舞(ウィキペディアより)

 

Oct 8, 2016

【七十二候から】49 「鴻雁来る(がんきたる)」

【七十二候から】49

鴻雁来る(がんきたる)」

皆様、おはようございます。

寒露の初候。

「寒露」は、露が冷たく感じられてくる頃のこと。

空気が澄み、夜空に冴え冴えと月が 明るむ季節です。

雁が北方で繁殖し、日本に子育てにやってくる頃です。

雁(がん、かり)は、10月初め頃に渡来し、翌春の3月頃、また北地へと帰っていきます。

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そう言えば、子どもの頃、

雁の群れがVの字をなして、空を飛んでいく姿をよく見かけたものです。

鳴き声も、カリカリ、とか、キャクキャクと、表現されますね。

甲高い声が澄んだ秋空に響き渡ります。

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国定忠治の『赤城山』。

「 赤城の山も今夜限り、生まれ故郷の国定の村や、

縄張りを捨て、国を捨て、

可愛い子分のてめえ達とも 別れ別れになるかどでだ。 」

と、親分忠治。

そして、子分巌鉄が、

「 ああ、雁が鳴いて 南の空へ飛んで往かあ! 」と、

親分と別れる寂しさを訴えます。

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ちょうど雁が日本に渡来している時期のお話なのでしょうね。

寂しさが身にしみてきます。

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もう一つ、雁と言えば思い出すのが、

森鴎外の『雁』です。

もうだいぶ前に読んだのでストーリーは忘れましたが、

高利貸しの男の妾になったうら若きお玉の思いの健気さと哀しさを思い出します。

お玉が慕うのは医学生岡田。

無縁坂で岡田を待つお玉。

ところが、不忍池から雁を持って下宿に帰る岡田とお玉は、ただすれ違うだけ。

岡田が明日ドイツへ留学することを知らないお玉は、

きっとその後もずっと岡田を無縁坂で待ち続けたのでしょう。
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「無縁坂」というのは、二人はもう会えないことの象徴でしょうか。

「雁」も北国へ帰っていくことから、岡田が旅立つことの象徴でしょうか。

何ともやるせない気持ちになります。

恋とは、淡く切ないものなのですね。

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Oct 5, 2016

【七十二候から】48 「水始めて涸る(みずはじめてかれる)」

【七十二候から】48

「水始めて涸る(みずはじめてかれる)」
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皆様、おはようございます。

田んぼから水を抜いて、稲刈りに取りかかる頃。

黄金色に実った稲穂を収穫する秋真っ最中です。

台風が多く、被害が甚大だった今年。

北海道でも野菜の収穫に打撃を受け、値段が高騰しています。

自然の力の前には何もする術もなく、ただ立ちすくむ人間。
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宮澤賢治が「アメニモマケズ」で表現しています。

ヒデリノトキハ ナミダヲナガシ

サムサノナツハ オロオロアルキ
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夏の日照り続きで田んぼに水がなく地割れしてしまった時、

冷夏で日照時間が短く植物が育たない時、

人はただただオロオロし、涙を流すだけです。

田の神様にひたすらお願いをして、何とか稲が実りますようにと、

ただただ祈るしかありません。

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秋の実りは格別です。

「黄金の国ジパング」は、秋の実り、田んぼの黄金色に輝くさまを言っているのだと思います。

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手間暇をかけて育てた稲をいよいよ収穫する時。

9月など、早い時期に収穫するものは「早稲(わせ)」

遅い時期に収穫するものは「晩稲(おくて)」

その中間に収穫するものは「中稲(なかて)」

収穫の喜びはひとしおです。

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どんなに人が田んぼに手をかけても、自然の力には及びません。

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稲の受粉は、これがまた神秘的です。

8月中旬ごろ、稲は白い花を咲かせます。

稲の花の開花は午前中のたった2時間ほどで、

しかも、受粉は10分から20分といわれています。

穂の先のほうから下に向けて順に5日間くらいかけて咲きます。

この短い受粉期間での受粉。

なんと神秘的でしょうか。

この最も大切なこの時期に、台風がやってきたり、海に近いところでは潮の被害があったりすると、稲は受粉できず、お米ができなくなります。

秋の収穫までを考えれば、本当に奇跡的なことなのですね。

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先人たちは、その年の豊作を田植えの時から祈り、丹精込めて水田を手入れし、お米を作ってきたのですね。

お米は八十八もの手をかけて育てるものといわれています。

いろんな行事やお祭りの中にその願いが込められています。

その心は今も変わらないですね。

新米を今年も感謝していただきましょう。

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Oct 2, 2016

【七十二候から】47 「蟄虫戸を坯す(すごもりのむしとをとざす)」

【七十二候から】47

「蟄虫戸を坯す(すごもりのむしとをとざす)」

皆様、おはようございます。

秋分の中候。

虫が隠れて戸をふさぐ頃。

あんなに暑かった夏から秋へ。

いつの間にか蝉の合唱から虫の合奏へと季節は移り変わりました。

虫の音、なんと耳に心地よいことでしょう。

都会暮らしをしていると、

「虫さん、ああ、よくこんな路地に来てくれたね。いい音色をありがとう。」と、

思わず心の中で虫たちに呼びかけてしまいます。
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暑さがぶり返し蒸し暑い日々が続いたと思っていたら、

気温が急に下がり、秋を肌で感じる頃になってきましたね。

そろそろ虫たちは越冬の準備を始める時期。

もうそんな季節ですか。

だれが教えたわけでもないのに、

自然界では、虫たちがあたたかい土の中で巣ごもりの支度を始めるのですね。

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この虫の音を聴くことができるのも、あともう少しなのですね。

秋の夜長の虫の音、いいものです。

チンチロ、チンチロ、チンチロリン。

リンリンリンリン、リーンリン。

キリキリ、キリキリ。

チョン、チョン、チョン、スイッチョン。

松虫、鈴虫、コオロギにウマオイ。

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日本人は、西洋人と違って、虫の音も音として聞き分けることができます。

それは、西洋人は虫の音を雑音として右脳でとらえるのに対して、

日本人は、虫の声を言語と同様に左脳でキャッチしているからです。

日本人が大自然との調和の中で、人間も自然の一部なのだと捉える生き方は、

この左脳の働きも大きく作用しているのですね。

神は、日本人をそのようにおつくりになったのです。

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今のうちに、しばし、秋の夜長、虫の音を味わってまいりましょう。

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Sep 12, 2016

【七十二候から】44 「鶺鴒鳴く(せきれい なく)」

【七十二候から】44

「鶺鴒鳴く(せきれいなく)」

皆様、おはようございます。

「白露」の次候。

鶺鴒(せきれい)が鳴き始める頃です。

身近に見かける可愛らしい小鳥。

でも、すばしっこくて、すぐ逃げてしまいますね。

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尾の長い小鳥、白鶺鴒(はくせきれい)が歩く時、

長くスマートな尾を上下に振りながら地面を叩くようにする仕草を

「石叩き」「岩叩き」「庭叩き」と呼んでいます。

『古今集』では、鶺鴒を「稲負鳥(いなおせどり)」と詠まれているといいます。

これは鶺鴒が鳴く頃に、人が稲を背負って家の中に入るからとか。

稲刈りの時期でもあったのですね。

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『日本書紀』にも登場する鶺鴒です。

なんと、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が結婚したものの,

どうして子を持つか分からずにいたところ、

尾を振る様子からその仕方を教えたのが鶺鴒だったというのです。

そのおかげで、二神は日本国の国生みを遂げることができたということです。

「恋教え鳥」「嫁教え鳥」という異名もあるようです。

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こうしたお話から、鶺鴒は皇室の結婚の儀にも縁が深いとか。

チチィ、チチィと鳴くこの小鳥、日本の国生みでも活躍し、

古の昔より愛されてきたのですね。

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Sep 7, 2016

【七十二候から】43 「草露白し」

【七十二候から】43

「草露白し(くさつゆしろし)」

皆様、おはようございます。

今日は二十四節気のうちの「白露」。

白露は、大気が冷えてきて露を結ぶ頃です。

ようやく残暑が引いていき、本格的な秋の訪れですね。

道草に降りた露が白く光って見えます。

忙しい日常の中で、そのような草を愛でるゆとりがほしいものです。

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今では忘れがちな「重陽の節句」。

「菊の節句」ともいわれます。

9月9日は「9」が重なるところから、「重陽」としてお祝いしました。

どうも現代の暦では、ピンとこないのが菊の節句。

旧暦の9月9日は、今年は、新暦で10月9日になります。

なるほど、此の頃なら、菊も咲いていますね。

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菊が咲くこの時期、菊の香りを楽しむのもいいですね。

菊は、仙境に咲く花と考えられました。

平安時代、宮中では「菊酒」を酌み交わす行事が行われたそうです。

「菊酒」を飲んで、邪気を払い、長寿を願ったのですね。
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重陽の節句の前日に、こんなこともしました。

「菊被綿(きくのきせわた)」です。

この重陽の節句の前日に、菊に綿をかぶせて香りを移し、

翌朝、露に湿った綿で顔や身体を拭いて、邪気を払いました。

枕草子や源氏物語にも「菊水」などの言葉が出ています。

優雅ですね。

菊はそんなに香り立つものだったかなあ・・と思いますね。

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いろいろなところで菊の品評会や菊人形展が開催されます。

長崎では、9月9日を「お九日(くんち)」として、

旧暦の日に収穫祭と習合して「長崎くんち」でお祝いするそうです。

季節を肌で感じる様々な行事。
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自然現象から実際の体験を通して知る「暗黙知(あんもくち)」。

江戸の人が子どもの教育にも大切にしたことです。

今こそ子どもたちに体験してほしいですね。

 

Sep 2, 2016

【七十二候から】42 「禾乃登る(こくものみのる)」

【七十二候から】42

禾乃登る(こくものみのる)」

皆様、おはようございます。

処暑の末候、禾乃登る(こくものみのる)」頃です。

田んぼの稲穂が黄金色に色づき始めました。

収穫時期が待ち遠しいですね。

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「禾(のぎ)」とは、稲などの穂先の毛のことですが、

稲や麦、稗、粟などの穀物のことを総称して、そう呼びます。

稲は、「稲禾(とうか)」「禾稲(かとう)ともいいます。

稲は、縄文時代に日本に伝わったといわれています。

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「禾」穂先の毛  ウィキペディアより

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一方で、台風の襲来や強風も心配な時期です。

今年は台風が多くて農作物への影響がとっても心配されます。

そのために、農業が無事に進むようにと祈るお祭りも行われます。

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富山県八尾(やつお)の「おわら風の盆」もその一つです。

八尾は立山連峰を越えて日本海から強い風が吹き込む土地です。

この風が稲作に深刻な被害をもたらしてきました。

風の神様に十分に稲が実りますように、風害に見舞われないようにと、

お祈りするお祭りです。
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「風の盆」は、

風を鎮める「風祭り」「盆踊り」が一つになって変化した風習と考えられています。

三味線と太鼓、胡弓の独特な調べにのって無言で踊る風の盆。

地元の皆さんの見せどころです。

町ごとに総出で揃いの浴衣で、唄に演奏に踊りと、圧巻ですね。

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胡弓の音色がもの悲しく、何とも言えない哀愁を誘います。

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編み笠を深くかぶり、無言で踊る姿には、優美な色気が漂いますね。

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その哀愁漂う光景から小説やヒット曲『風の盆恋歌』などが生まれたのですね。

  「蚊帳の中から 花を見る

   咲いてはかない 酔芙容」

       石川さゆり『風の盆恋歌』

一度は是非見に行きたいこの「おわら風の盆」。

前夜祭と9月1日から3日までの3日間、

夜を徹しての、夢のような、日本の素晴らしいお祭りです。

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写真:おわら風の盆 田中進さん提供

 

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